外国人労働者のメリット、デメリットとは?

昨年2018年には「人手不足関連倒産」の件数が400件に達し、前年までの平均件数から大幅に上昇して過去最高を記録しました。このうち4分の1は、サービス関連の非製造業が占めています。また製造業、流通業に関しても人手不足は深刻で、労働者の確保、あるいは人に頼らないシステムの構築は待ったなしの状況になっています。

“国内の労働者不足”という問題の打開に向けて、本年4月からは外国人労働者に対しての新法の施行など、各省庁をはじめ人手不足に喘ぐ企業などの動きが活発になっています。そこで今回は、外国人労働者を雇用する上で発生する「メリット」と「デメリット」について解説します。

外国人労働者は大きく2つのグループに分けらます

1つ目のグループは、高い能力・技術力を持つ外国人です。例えば世界で競争が過熱している最先端の人工知能分野や、ロボット技術、WEB関連のシステムエンジニアなど、高度な技術人材です。

2つ目には、農林、水産業などの一次産業、建設業や製造業などの二次産業、運輸や飲食サービス業などの三次産業に従事する労働人材とに分けられます。

両者は共に外国籍の人材ではありますが、就業スタイルや、在留中の住居環境などが異なり、これらをひとくくりにしてメリットとデメリットを語ることは容易ではありません。

今回は「高度技能系の外国人労働者」「一般的な外国人労働者」と、2つのグループに分けて、ぞれぞれのメリット/デメリットを紹介します。

 

<高度技能系 外国人労働者のメリット>

・多様性と意識向上

職場に外国人というバックボーンが異なり、更には高いスキルを持っている従業員が加わることで、職場のモチベーションの向上や新しいアイディアの創造などの相乗効果が期待できます。またサービスや製品のグローバル展開をしている企業にとっては、ターゲットなる海外マーケットの文化や国民性に精通している従業員が社内に居ることは強みになります。

また既に大勢の外国人を雇用し、社内公用語を英語に切り替える企業も増えて来ていますが、国内に居ながら海外のような環境で働けることは、日本人従業員にとっても大いに刺激になるでしょう。

 

<高度技能系 外国人労働者のデメリット>

外国人労働者は、日本への“出稼ぎ”であるため、どのくらいの期間会社で働いてくれるのか?という定着に対しての懸念があげられます。また高度な技能人材である外国人は引く手数多であり、能力をより高く評価する企業に突然転職してしまうというリスクは日本人以上にあると思われます。

また日本と欧米では依然「労働」に対しての考え方が異なり、就労時間や休暇と言った事柄についても、国際基準に近い待遇に合わせることが求められます。

 

<一般的な外国人労働者のメリット>

・労働者不足の解消

言わずもがな従業員不足に悩まされている雇用者側にとっては、国籍を問わず条件に合う働き手を確保して、事業の安定化を図りたいところです。

労働者に求める条件は各業種によって様々ですが、ある程度の日本語コミュニケーション能力がある外国人であれば、研修期間を経て現場での戦力になってくれます。

若者離れや過疎化の進む地域では、外国人労働者を積極的に招くことによって、その地域の活性化にもつながる好因を含んでいます。

 

<一般的な外国人労働者のデメリット>

・言葉

外国人雇用に際してのデメリットとして先ずあげられるのが、言葉によるコミュニケーションの問題でしょう。配属先が単純労働の類いだとしても、日本人同士ではニュアンスで伝わる内容が、外国人労働者には1から10まで言葉で伝えなくてはならないという苦労もあります。外国人の日本語のレベルと共に、それに合わせた新しい研修内容など、受け入れ側の工夫も求められてきます。

・生活習慣

日本という慣れない生活環境で継続して働いてもらうためには、外国人の生活習慣を許容し、働きやすい環境づくりを整備することが求められます。例えばイスラム教の労働者のためには、礼拝のための時間の確保、社員食堂での豚肉の不使用など、宗教や文化に合わせた職場環境が新たに必要とされます。

・地域理解

外国人を多数雇用する際に、その会社や住居のある地域の住民から「治安に対しての不安」がささやかれることがあります。外国人労働者の多くが、日本でまじめに働く意思を持ってやって来ていますが、テレビで外国人による犯罪の報道があると、地域住民の不安の矛先は近くの外国人に向けられます。会社の規模や業種にもよりますが、こうした地域住民の理解や、不安に対してのケアが求められる場合もあります。

 

まとめ:デメリットもメリットに成りうる

日本で働く外国人

80年代後半から90年代初頭にかけて起ったバブル景気の頃には、海外から多くの外国人労働者が日本に流入し、日本の経済発展を大きく下支えしていました。

またバブル崩壊後は、中国や東南アジアなどに安い労働力を求めて国外に生産拠点を移転させるなど、日本の産業構造は景気の変動や時代の潮流に合わせて変容をくり返して来ました。

一方で、バブル崩壊後には多くのイラン人が東京の上野界隈で偽造したテレホンカードを販売していたりと、外国人労働者の需給のひずみが国内の治安の悪化を招いたこともありました。

近年でも外国人による犯罪は度々報道されますが、中には悪質ブローカーに斡旋されて、いわゆるブラック企業で働かされていた外国人も少なくありません。結果的にそこを抜け出し、生活のため犯罪に手を出してしまうケースも報告されています。このように外国人による治安の悪化の一因には、景気の変動のみならず日本側の体制にも問題があります。

今回取り上げた外国人労働者のメリット、デメリットに関しては一例に過ぎず、異なる国や文化の数だけケースバイケースで様々なことが起こりうるでしょう。
たとえ現状ではデメリットな要因であっても、その受け入れ側の体制次第ではメリットにも成りうるものも含まれています。

人手不足関連の倒産件数からも明らかなように、外国人労働者なくしては2020年代の経済成長は見込めません。それどころか日本経済は衰退の一途を辿ってしまいかねません。これまで日本が培ってきた外国人雇用の経験を、法制度的にも雇用体制的にもさらにブラッシュアップされたもとで労働者を受け入れ、新時代的な主従共生を目指したいものです。